がん知識の森
投与時間で効果が変わる抗がん剤
最初に思ったのは、よくこんなの思いついて調べたな。。。でした。

免疫応答にはサーカディアンリズムが関係していることが研究で分かってきており、免疫チェックポイント阻害薬も投与時間によって、反応性が変わってくるのではないか?という仮説に対する調査だったようです。もともと、ワクチンも午前中に接種した方が抗体産生の反応が強いという報告があったようです。
8年間もかけて、悪性黒色腫の患者さんの治療効果、投与時間などを調べています。
その結果、午前と午後の早い時間帯に免疫チェックポイント阻害薬を投与された患者さんのほうが全生存期間が長かったことがわかりました。特に16時30分以降に20%以上の免疫チェックポイント阻害薬を投与された患者さんでは全死因死亡リスクが31%も高かったとのことでした。
免疫チェックポイント阻害薬を含め抗がん剤は午前中にして、殺細胞薬や分子標的薬を午後にもってくるような流れになっていくのでしょうか???
こういった研究論文って面白いですよね。とても大事なことだと思います。
2021.12.12 | がん治療Q&A
がん治療の食事
ホームページのアクセス履歴を見ていくと、一番人気がある投稿ががん治療中の食事に関するものでした。
治療も大事ですが、意外とある程度しっかりした病院でないと食事指導などの支持療法は受けられない現実もあるからでしょうか・・・
ファイザーのホームページにがん患者さんたちの食事レシピ集があったのでリンクをはっておきます。ご参照ください。
診療所内で料理教室とか開けるようにしたいな~
2021.12.04 | がん治療Q&A
卵巣癌再発時の治療
卵巣癌がちょっと特殊な癌の1つです。抗がん剤治療が非常に良く効き、特にカルボプラチンやシスプラチンを使用して6カ月以上経過しての再発はプラチナ感受性卵巣癌と言われます。
再度、プラチナ製剤を投与することで非常に良く効くためこれを繰り返す患者さんもいます。
再発したら抗がん剤治療が良く効くので再投与しましょうと言っていました。すると患者さんによっては”手術して取ることはできませんか?”と言われることも、、、 気持ちは良くわかるのですが、手術をすることが良いのかどうかは結果が出ていないので、合併症など起きて抗がん剤治療が進まなくなる可能性もありますし、抗がん剤治療をしましょうと伝えていました。婦人科と相談して、場合によっては手術することもありましたが、積極的に推奨はしていませんでした。
今週のNEJMに答えとなる論文が出ていました。

最後の抗がん剤から6カ月以上経過しての初回再発に対して手術を行ってから抗がん剤治療を追加したほうが生存期間中央値が延長されていました。生活の質(QOL)も手術の影響で落とすことなくできています。腹水が500ml以下などの制約はありますが、今後はプラチナ感受性再発+初回再発であれば手術を積極的に検討するべきと変わってくる可能性が高いです。
卵巣癌はPARP阻害薬の開発によりかなり治療成績が良くなってきています。主治医とのコミュニケーションをとって最善の治療を選択していきましょう。
2022年プライマリケア学会
2年ほど前から地味ですが、プライマリケア学会でがん治療のワーキンググループを有志と立ち上げて活動していました。
これまでも、学会発表をしてきていたのですが今年は念願(?)のシンポジウムに採択されました。
1人でもがん患者さんに寄り添える開業医、若手医師を育てたいという思いで活動しています。2022年は患者会の方々と今後のがん診療にどう関わってもらいたいかなどを話し合います。
録画されて1か月間視聴が可能なため、興味ある方には案内させていただこうと思っています。
今後も活動の幅を広げていき、がん患者さんのためにできることを増やしていきます。
2021.11.27 | がん治療Q&A
膵臓癌の早期発見に向けて
膵臓癌は早期発見が難しく、手術して長期生存ができるのはまれなChallengingな病気の1つです。BRCA遺伝子の関与も分かっており、遺伝があることも分かっています。そんな難しい腫瘍ですが、今回テオリアサイエンスという会社からエキソソームという物質を測定することで膵臓癌の早期発見ができる可能性がある検査のご紹介をいただきました。
保険では認められていないため自費検査となってしまいますが、採血で分かり腫瘍マーカーなどと比べても早期発見の有用性が見られているようです。
高価な検査となってしまいますが、興味のある方はお問い合わせください。

