がん知識の森
インフルエンザワクチンについて
インフルエンザの季節が本格的に到来しました。がん患者さんから良く受ける質問に「インフルエンザワクチンを打っていいですか?」があります。
26463人のがん患者さんを対象としたインフルエンザワクチンの効果を見た臨床試験があります。この中には抗がん剤治療を受けている患者さんも23%含まれています。4インフルエンザワクチンを打つことが有効かどうかを調べています。
インフルエンザ流行期間の間に4320人の患者さんがインフルエンザ陽性となりました。11783人がワクチンを受けていました。ワクチンを打っていない人と比較すると、インフルエンザにかかる割合、入院率などすべてが下がりました。特に固形癌の患者さんでは効果が高く、抗がん剤治療中かどうかは関係がありませんでした。
がん患者さんは治療中の有無にかかわらずインフルエンザワクチンを打ちましょう。
手洗いなど予防なども行いましょう。
Journal of Clinical Oncology 37, no. 30 (October 20, 2019) 2795-2804.
2019.12.02 | がん治療Q&A
希少がんって何?
希少がん
胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝細胞がんなど患者数が多いがんと違い「新規にしんだんされる症例の数が10万人あたり年間6例未満のがん」と定義されています。
国立がん研究センター中央病院のデータによると、2014年の罹患数は多い順番に
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
男性 | 肺 | 胃 | 大腸 | 肝臓 | 膵臓 |
女性 | 大腸 | 肺 | 膵臓 | 胃 | 乳房 |
男女計 | 肺 | 大腸 | 胃 | 膵臓 | 肝臓 |
となっています。
希少がんという言葉からは「数が少ないから滅多になることはないのだろう。珍しいんだから。」と思うかもしれませんが、希少がんの中には肉腫、神経内分泌腫瘍、脳腫瘍、皮膚腫瘍、中皮腫、副腎癌など数多くのがん種が含まれているため総数としては想像よりも多くなります。
2014年に大阪大学から発表された調査結果では、全国のがん患者さんを集めてきたら15%は希少がんであったとされています1)。
しかしながら、肉腫などは臓器によらず全身の様々な場所にできることがあります。 そのため、診断がついても何科にかかればいいのかが分からない、医師側も何科で治療をすればいいのかが分からないといった問題が生じることがあります。
東京や大きな都市に行けばがんセンターに紹介すれば何とかなるかもしれない。となりますが、情報が入りにくい地方都市などでは治療選択肢を迷ってしまうことがあります。
尾三地区や三次などの患者さんに少しでも有益な情報を共有して、相談に乗りたいと思っています。
1)Cancer Epidemiol. 2014 Oct;38(5):490-5. doi: 10.1016/j.canep.2014.07.014. Epub 2014 Aug 22.
2019.12.02 | 希少がんについて