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希少がんについて

Ewing(ユーイング)肉腫



小児に多く、ユーイング肉腫は体幹扁平骨に好発する。
大腿骨・脛骨・上腕骨の骨幹部や骨盤に好発する。骨外発生では下肢の近位部・脊柱に近い体幹部、上司などの深部に好発する。転移部位は肺・骨・骨髄が多い。

病理的にはCD99とFLI-1を高レベルで発現しており、免疫染色で確認できるが特異的ではない。EWSR1とFLI-1の転座が認められる。EWSR1を含まない変異もあり、CIC/DUX-4やBCOR-CCNB3が知られている。

手術、化学療法、放射線の集学的治療が標準とされる。限局性では50%以上の根治が見込め、転移例においても20%~30%で長期間生存が狙える。局所療法は化学療法開始後12週以降で行われる。完全切除を行うことで局所再発率・放射線による二次癌を減らすことができる。完全切除ができなかった場合や手術が不可能な場合に放射線治療が追加される。放射線治療後のユーイング肉腫の患者さんの1%~2%において放射線関連の肉腫が報告されている。

化学療法はVDC/IE交替療法が行われる。小児例においてはVDC/IEは2週間おき投与RFS(再発期間)を改善した。

5年以降の局所再発は10~15%とされ、10年以上経過すると25%と報告されている。

ユーイング肉腫は2~4か月おきに評価を3年間おこない、6か月おきに2年間、それ以降は年に1回の症状などに応じたフォローアップが推奨されている。

転移性のユーイング肉腫においてはVDC単独療法がVDC/IE療法と同様の効果があるとされている。ドキソルビシンの積算量は375mg/m2~450mg/m2に達したらdactinomycinに変更する。それ以降のレジメンとしてはIE療法、イリノテカン+テモゾラミドが行われる。

2022.09.14 | がん治療Q&A,希少がんについて

がんと診断されたとき

がんと診断された時は、ショックで医師からの説明など頭に入っていきません。国民の2人に1人が、がんになると言われていても”がん=死”というイメージは強いです。初期であれ、転移をしているものであれ変わらないと考えます。
初期で治療できたとしても再発するかもしれないという見えない恐怖と闘っていると患者さんから聞いたことがあります。

家族・友人も動揺します。1日でも早く治療をしたほうが良いのではないか?
治療費はどれくらいかかるのか?
治る治療をするためにはどうしたらよいのか?
これまでの食事などに問題があったのではないのだろうか?
様々な後悔と不安が襲ってきます。

がんと診断された時の注意点と私が患者さんに言っていることを掲載します。

やるべきこと
①再度、時間をおいて説明を求める。
午前中に説明を受けたのであれば、夕方など主治医の都合が良い時間や翌日にも再度説明をしてもらうようにお願いする。
告知後の説明は全然記憶に残らないと思ってください。それが通常だと思っています。外来患者数が多く、5分間診療と言われている日本だと尚更むずかしいと思います。

②がんの状態が手術などで取り切れるものなのか、それとも取り切れないものなのかを確認する。
根治的な治療を行えるのか、そうでないのかで心持ちが大きく変わってきます。

③現在の主治医と気が合いそうかを見極める。なかなか難しいが、がん治療をするのは目の前の主治医です。どんな有名な病院に行ったとしても、そこにいるのは後期研修医・大学病院などからの派遣医師のことがあります。主治医になる医師とのフィーリングが大事です。

セカンドオピニオンを考えるポイント!
ここで主治医が迷ったそぶりを見せる場合には他の施設の意見を聞いてみることが大事
(難しいのは大学派閥があること。広島県内だと広島大学と岡山大学の関連病院がほとんどです。そこには医師の関係があるため、私は広島大学関連病院からセカンドオピニオンを受ける場合には岡山大学関連病院でのセカンドオピニオンを推奨しています。)
希少がん(特に肉腫)に関しては施設の経験値がものを言います。実際に、最初の施設では手術はできないと言われた症例で肉腫を多数扱っているセンター病院にセカンドオピニオンを推奨して手術できた症例もあります。
逆に、大腸癌・乳癌などの患者数が多いがん種に関しては、日本のどこでも受けれる治療はほぼ一緒です。セカンドオピニオンで最初の病院と治療方針が一緒であれば治療を早めに導入できる病院で治療を開始するのを推奨します。

やってはいけないこと
①安易にネットで検索しない。
ネットに出てくる情報は玉石混合です。国立がん研究センターが発信しているような正しい情報もあれば、がんの予後は●か月、、、 がん患者のブロブ、怪しい高額治療まで様々です。冷静さを欠いた状態で検索していると正しい情報、進むべき方向を間違えてしまうことがあります。ネットで検索する前に”病院”の主治医やがん治療に詳しい”かかりつけ医”に相談しましょう。

②がん”治療”クリニックには行かない。クリニックで抗がん剤治療、放射線治療を自費で行っているところには絶対に行ってはいけません。私も診療所の経営をしていますが、がん治療だけで利益を上げるのはクリニックでは非常に難しいです(とれる加算がほとんどないから)。ということは自費や他の収入源がある場合が多く、それはかなり怪しいと考えられます。それに、がん治療には副作用があります。入院できる病院と連携をとれるところでないと治療は難しいです。ほとんどのインチキクリニックはホームページに連携病院で大学病院などを列挙していますが嘘のことが多く、まともな診療所は連携病院をわざわざ記載しません。

③セカンドオピニオンに時間をかけない。がん治療は種類によっては時間が致命傷になります。セカンドオピニオンの予約が1か月後、2か月後となる場合もありますが、そんな時間をかけるのは無駄足になることがあります。

ぱっと思いついたことを記載しました。これは、アップデートしてより良いものにしていこうと思います。何か気になることなどがあれば、問い合わせフォームからご連絡ください。一緒に考えます。

2022.03.04 | がん治療Q&A,希少がんについて

卵巣癌再発時の治療

卵巣癌がちょっと特殊な癌の1つです。抗がん剤治療が非常に良く効き、特にカルボプラチンやシスプラチンを使用して6カ月以上経過しての再発はプラチナ感受性卵巣癌と言われます。

再度、プラチナ製剤を投与することで非常に良く効くためこれを繰り返す患者さんもいます。

再発したら抗がん剤治療が良く効くので再投与しましょうと言っていました。すると患者さんによっては”手術して取ることはできませんか?”と言われることも、、、 気持ちは良くわかるのですが、手術をすることが良いのかどうかは結果が出ていないので、合併症など起きて抗がん剤治療が進まなくなる可能性もありますし、抗がん剤治療をしましょうと伝えていました。婦人科と相談して、場合によっては手術することもありましたが、積極的に推奨はしていませんでした。

今週のNEJMに答えとなる論文が出ていました。

最後の抗がん剤から6カ月以上経過しての初回再発に対して手術を行ってから抗がん剤治療を追加したほうが生存期間中央値が延長されていました。生活の質(QOL)も手術の影響で落とすことなくできています。腹水が500ml以下などの制約はありますが、今後はプラチナ感受性再発+初回再発であれば手術を積極的に検討するべきと変わってくる可能性が高いです。

卵巣癌はPARP阻害薬の開発によりかなり治療成績が良くなってきています。主治医とのコミュニケーションをとって最善の治療を選択していきましょう。

2021.12.03 | がん治療Q&A,希少がんについて

パピローマウイルスワクチンの再考

先日、田村厚生労働大臣が子宮頸がんを防ぐパピローマウイルスワクチンの接種推奨の再開を検討すると発言がしました。その時期は、、、 
「コロナウイルスが落ち着いてから!」
いつだよ、、、って感じです。

パピローマウイルスワクチンは日本では子宮頸がんワクチンとも言われていますが、尖圭コンジローマや陰茎癌を防ぐことも分かっているため、男性にも接種が推奨されています。

4価と9価のワクチンがあり、4価ワクチンは公費でも小学6年生から高校1年生までが接種できます。完了するまでに半年かかるため、公費で受けるなら高校1年生は今月から接種開始しないといけません!

色んな副作用が報告されて、接種推奨から外れてしまった子宮頸がんワクチン。こんな悲しいことはありません。子宮頸がんは非常に辛く、抗がん剤治療方法も少ないがんです。公費で受けれる人は今のうちに接種を!時期を逃してしまった人も自費にはなりますが、費用対効果は測りきれません。是非とも接種を検討してください。

当院では4価(ガーダシル)、9価(シルガード9)ともに接種可能です。

金額などは問い合わせフォームから連絡ください。

下の産婦人科学会のホームページが見やすくまとまっています。参考にしてください。

子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために|公益社団法人 日本産科婦人科学会 (jsog.or.jp)

子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)について – 広島県感染症・疾病管理センター(ひろしまCDC) | 広島県 (hiroshima.lg.jp)

2021.09.03 | がん治療Q&A,希少がんについて

肉腫に対する放射線治療

久ぶりに希少癌のカテゴリーの更新です。

局所・局所進行にある肉腫の根本的な治療はしっかりと切除範囲を確保した後半切除術です。再発率が高そうな場合に関しては放射線治療が術後に加えられることが多かったです。

再発率が高そうな肉腫というのは、原発部位・病理的悪性度・年齢などにより決定されます。

放射線治療をすると、傷が治りにくくなる、合併症が多くなる可能性があるとの理由から術前ではなく術後に行われるケースがほとんどです。

しかしながら、新しいガイドラインでこのようになりました。

術前に再発率が高く放射線治療が必要と思われる症例に関しては、術後ではなく術前に化学療法を行うことが強く推奨される。と記載してあります。

術前、術後でも再発率を抑える効果は一緒なのですが、長期合併症などは術前の方が少ない傾向にあるとのことです。

放射線治療がされた後の手術は肉腫以外でも外科医からは嫌われることが多いですが、今回のガイドラインなどからもしかしたら放射線治療後に手術を行うケースが増えてくるかもしれませnね。

2021.08.01 | 希少がんについて