がん知識の森
オンコタイプDxの保険承認
やっと来ました!
これまで自費で40数万円かかっていた、再発リスクを見積もり化学療法をしたほうがメリットがあるのかないのかを可視化できる検査です。
一番は主治医との信頼を気づいた上での術後化学療法の選択と思いますが、客観的にも評価できるので非常に助かります。
術後化学療法を受けようかどうしようか迷っている場合には12月以降にはこの検査が広く浸透すると思われます。
2021.08.12 | がん治療Q&A
肉腫に対する放射線治療
久ぶりに希少癌のカテゴリーの更新です。
局所・局所進行にある肉腫の根本的な治療はしっかりと切除範囲を確保した後半切除術です。再発率が高そうな場合に関しては放射線治療が術後に加えられることが多かったです。
再発率が高そうな肉腫というのは、原発部位・病理的悪性度・年齢などにより決定されます。
放射線治療をすると、傷が治りにくくなる、合併症が多くなる可能性があるとの理由から術前ではなく術後に行われるケースがほとんどです。
しかしながら、新しいガイドラインでこのようになりました。
術前に再発率が高く放射線治療が必要と思われる症例に関しては、術後ではなく術前に化学療法を行うことが強く推奨される。と記載してあります。
術前、術後でも再発率を抑える効果は一緒なのですが、長期合併症などは術前の方が少ない傾向にあるとのことです。
放射線治療がされた後の手術は肉腫以外でも外科医からは嫌われることが多いですが、今回のガイドラインなどからもしかしたら放射線治療後に手術を行うケースが増えてくるかもしれませnね。
2021.08.01 | 希少がんについて
ホルモン療法は何年続けるべきか?
乳がんの中でもホルモン受容体陽性乳がんの手術後にはホルモン療法を最低5年間は継続します。患者さんに5年間と伝えると、「そんなに長く!」と言われることも多くあります。
閉経前でリスクが高い場合には5年間追加して合計10年間内服することもあります。閉経後の女性はどうするのかは色んな意見があり統一はされていませんでした。今週の論文にこの疑問点を解決してくれるものがあったので紹介します。
閉経後のホルモン受容体陽性乳がんの患者さんに7年内服させるのか10年内服させるのかという試験です。結果は、、、
再発率に差はなし。
死亡率も差はなし。
では副作用はどうでしょうか?たまに当院に来院される患者さんでもホルモン療法は副作用はほぼないって聞いてますという方がおられますが、そんなことはありません。血栓症、関節痛、骨粗鬆症などの副作用があります。
骨折リスクは5年間追加したほうが高くなっています。また、その他の副作用も5年間追加内服群が起こりやすくなっています。
閉経後のホルモン療法は10年間内服しても7年間内服と比較するとがんの再発率は関係ないが、副作用は起こりやすくなるという結果が出ました。
骨折予防にはホルモン内服中に骨密度を定期的に測定し、必要であれば骨粗鬆症の治療も並行して行うことが重要です。
2021.07.30 | がん治療Q&A
Foundation One Liquid
これまではがん組織がないと検査ができなかった遺伝子検査ですが、今年の夏からいよいよ血液検査でもがん組織の遺伝子検査が行えるようになります。
Foundation One Liquid(ファンデーションワンリキッド)と呼ばれるもので、血液中のがん細胞のDNAを拾って遺伝子検査を行います。
がんの組織検体が少なくて、検査に出せなかった。がん組織が体の深くにあり取ってくることができなかった。手術した検体が古くて検査ができなかった。というような患者さんたちにとって有益な検査になる可能性があります。
広島県では決まった施設でしかできないですが、主治医の先生方に是非たずねてみてください。
がんとお金の話
患者申出療養費制度などが出来ましたが、一部が自費診療のことは変わりなく、依然として経済的にがん治療は大変な状況です。
コロナ禍になってから失業や収入が減少して治療を休止・中止した患者さんたちもおられます。
先日、このような本が出版されていました。
まず知っておきたい! がん治療のお金、医療サービス事典 | 山﨑 知子 |本 | 通販 | Amazon
書いている先生方に一部知り合いもいて非常に信頼がおける一冊になっています。がんに自分が、家族がなってしまった。。。というときにまず手にしてみてください。
2021.07.02 | 医療費の軽減制度