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がん治療Q&A

卵巣癌再発時の治療

卵巣癌がちょっと特殊な癌の1つです。抗がん剤治療が非常に良く効き、特にカルボプラチンやシスプラチンを使用して6カ月以上経過しての再発はプラチナ感受性卵巣癌と言われます。

再度、プラチナ製剤を投与することで非常に良く効くためこれを繰り返す患者さんもいます。

再発したら抗がん剤治療が良く効くので再投与しましょうと言っていました。すると患者さんによっては”手術して取ることはできませんか?”と言われることも、、、 気持ちは良くわかるのですが、手術をすることが良いのかどうかは結果が出ていないので、合併症など起きて抗がん剤治療が進まなくなる可能性もありますし、抗がん剤治療をしましょうと伝えていました。婦人科と相談して、場合によっては手術することもありましたが、積極的に推奨はしていませんでした。

今週のNEJMに答えとなる論文が出ていました。

最後の抗がん剤から6カ月以上経過しての初回再発に対して手術を行ってから抗がん剤治療を追加したほうが生存期間中央値が延長されていました。生活の質(QOL)も手術の影響で落とすことなくできています。腹水が500ml以下などの制約はありますが、今後はプラチナ感受性再発+初回再発であれば手術を積極的に検討するべきと変わってくる可能性が高いです。

卵巣癌はPARP阻害薬の開発によりかなり治療成績が良くなってきています。主治医とのコミュニケーションをとって最善の治療を選択していきましょう。

2021.12.03 | がん治療Q&A,希少がんについて

2022年プライマリケア学会

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2年ほど前から地味ですが、プライマリケア学会でがん治療のワーキンググループを有志と立ち上げて活動していました。

これまでも、学会発表をしてきていたのですが今年は念願(?)のシンポジウムに採択されました。

1人でもがん患者さんに寄り添える開業医、若手医師を育てたいという思いで活動しています。2022年は患者会の方々と今後のがん診療にどう関わってもらいたいかなどを話し合います。

録画されて1か月間視聴が可能なため、興味ある方には案内させていただこうと思っています。

今後も活動の幅を広げていき、がん患者さんのためにできることを増やしていきます。

2021.11.27 | がん治療Q&A

膵臓癌の早期発見に向けて

膵臓癌は早期発見が難しく、手術して長期生存ができるのはまれなChallengingな病気の1つです。BRCA遺伝子の関与も分かっており、遺伝があることも分かっています。そんな難しい腫瘍ですが、今回テオリアサイエンスという会社からエキソソームという物質を測定することで膵臓癌の早期発見ができる可能性がある検査のご紹介をいただきました。

保険では認められていないため自費検査となってしまいますが、採血で分かり腫瘍マーカーなどと比べても早期発見の有用性が見られているようです。

高価な検査となってしまいますが、興味のある方はお問い合わせください。

2021.11.08 | がんと遺伝,がん治療Q&A

胃薬とパルボシクリブ

ESMO(ヨーロッパ臨床腫瘍学会)をながめていて、興味深い発表があったので簡単に書いておきます。

ホルモン受容体陽性乳癌に対する治療としてパルボシクリブという薬があります。それとPPIなどの胃薬を併用すると効果が薄れてしまうということでした。

112人の検討でPPIを併用している患者では効いている期間は約14カ月、飲んでいないと37.9カ月とかなりの差が出ていることが分かりました。

パルボシクリブは胃のpHが低いほど吸収が良い薬のようで、胃薬で酸を少なくすると吸収効率が落ちてしまうとのことです。胃薬は多くの患者さんで入っていますが、下痢を起こしたり、腎障害を起こしたりと実は色んな副作用が報告されているものもあります。安易に入れがちな胃薬ですが、むやみに長期投与はせずに、必要なければ減らしていった方が良いと感じました。

2021.10.20 | がん治療Q&A

エンハーツすごい

第一三共が開発したエンハーツというHER2陽性乳癌に対する治療薬があります。施設基準が厳しく、投与できる病院は限られています。これまではカドサイラを投与した後の3次治療としてしか使えませんでした。ヨーロッパの臨床腫瘍学会で発表された2次治療でのカドサイラ vs エンハーツですが、圧倒的にエンハーツが効果があったようです。

論文が発表されたら詳細を記載させていただきます。

HER2陽性乳がんでエンハーツの治療が残っている患者さんはどこの施設なら投与できるのか主治医の先生に聞いてみてください。

2021.09.21 | がん治療Q&A