がん治療Q&A
ブログのきっかけ
がん治療などのコーナーを担当している瀬尾卓司と申します。
私は愛知医科大学を卒業後に沖縄、千葉、広島、東京の病院や診療所で働いてきました。突然ですが、私がなぜこのようながん患者さんの診療を診療所で行っていきたいかという理由などを書かせてもらいたいと思います。様々な意見があるかもしれませんが、興味のある方は一読していただけると嬉しいです。
学生時代に友人が、がんを患ったことがきっかけで腫瘍内科医を志すようになりました。
その時の体験などから地方にこそ、がん診療ができる総合診療医が求められているのであにかと考えるようになりました。愛知医科大学卒業後に沖縄、千葉、広島、東京と総合病院やがん専門病院を中心に働いてきました。総合病院がたくさんあり、交通も便利な都市であれば以下のようなことは問題ないことが多いですが、世羅や尾三地区に住んでいると以下のようなことが問題になってきます。
がん患者さんは高血圧や糖尿病など多くの合併症を抱えていることがあります。がん治療専門医だと、がん治療はするけど他の病気は循環器内科や糖尿病科に受診を促すことになります。複数科を受診することは大変なことです。特に地方や田舎から治療に行っていると、受診日が合わなかったら連日受診が必要になり、、、と負担はより大きくなります。 かかりつけの先生に相談するが、抗がん剤を使用していると診療できないから総合病院で相談して下さい。と言われることもあります。非常につらい思いをしながらがん治療を継続している患者さんもいると思います。”がん患者さんを診療できるかかりつけ医”が今後は求められてきます。
がん専門病院で働いていた時には遠方から何か治療はないか。治験に参加したい。とぎりぎりの体力を使って受診される患者さんも見てきました。しかし専門病院で治療を受けることができる患者さんはほんの一握りでした。その理由には様々なことがあります。①臨床試験や治験には除外基準があり引っかかる。②合併症が多く、がん専門病院だけでは治療ができない。③そもそも臨床試験・治験がない。などがあります。これらは主治医が情報を入手して、がん専門病院と予め連携を取っていると患者さんに受診するという負担をかけなくても解決できます。
瀬尾医院だと抗がん剤治療は難しいですが、副作用を含めた合併症の管理を一緒に行い地方のがん患者さんの負担をできうる限り少なくしたいというが目標です。まだまだ勉強中の身でもありますし、すべての問題や副作用を解決できるわけではありませんが、少しでもがん患者さんに寄り添える医療をしたいと思っています。
都市に出なくても安心して最善の治療を受けることができる環境作りを世羅郡から発信したいと思っています。がん関連のことであればどんなことでも構いません。相談したいことがあればご相談ください。
インフルエンザワクチンについて
インフルエンザの季節が本格的に到来しました。がん患者さんから良く受ける質問に「インフルエンザワクチンを打っていいですか?」があります。
26463人のがん患者さんを対象としたインフルエンザワクチンの効果を見た臨床試験があります。この中には抗がん剤治療を受けている患者さんも23%含まれています。4インフルエンザワクチンを打つことが有効かどうかを調べています。
インフルエンザ流行期間の間に4320人の患者さんがインフルエンザ陽性となりました。11783人がワクチンを受けていました。ワクチンを打っていない人と比較すると、インフルエンザにかかる割合、入院率などすべてが下がりました。特に固形癌の患者さんでは効果が高く、抗がん剤治療中かどうかは関係がありませんでした。
がん患者さんは治療中の有無にかかわらずインフルエンザワクチンを打ちましょう。
手洗いなど予防なども行いましょう。
Journal of Clinical Oncology 37, no. 30 (October 20, 2019) 2795-2804.
2019.12.02 | がん治療Q&A