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2022年2月

子宮頸がん新薬

またまた、子宮頸がんに関しての新薬の情報がNEJMに掲載されていました。

CemiplimabというのはPD-L1抗体のようです。
キイトルーダがもうすぐ日本でも承認されそうという噂は聞いていますが、2つめの免疫チェックポイント阻害薬となりそうです。

子宮頸がんはプラチナ製剤+パクリタキセルで病状進行してしまうと、それ以外の治療がなかなかありません。

今回は1次治療終了後にCemiplimabを投与されての成績が掲載されています。

これが生存率のグラフになっています。黄色い線がCemiplimabの使用群です。これまでの抗がん剤治療と比較して上に来ている=長生きできている人が多いということです。頸がんには扁平上皮癌と腺癌がありますが、どちらのタイプでも同様に良好な成績が得られています。

PD-L1抗体薬なので、PD-L1が多い腫瘍のほうが良く効くことが想定されるのですが、1%以上発現していると良く効いていますが、残念ながら<1%だとこれまでの抗がん剤治療と同様の効果にとどまっております。

PD-L1>1%の症例で承認されるようになるのでしょうか?一日でも早く、選択肢が増える治療が患者さんに届くことが望ましいです。

2022.02.13 | がん治療Q&A

詐欺医療やトンデモ医療

Twitterを始めていろんな情報が見れるようになって勉強になっています。

エビデンスがない治療をしているクリニックはトンデモない、詐欺だ!と言って啓発している投稿もよく見かけます。私自身もそう思います。
とある医師が、患者さんがインチキクリニックに行こうとしたらどうしますか?とアンケートを取っていました。とても140字では投稿できないので、こちらに書かせてもらいます。

①まず、最善と考えてしてきた抗がん剤治療などが本当に「患者さんにとって」最善だったのかを考えなおします。これまでも、そういったクリニックに流れていく患者さんを診てきていますが、私を含めて主治医との関係性がこじれていることがあります。
まずは「患者さんは納得して一緒に治療をしてくれていたのか?どこかの説明などでエビデンスやガイドラインを盾にして頭ごなしになっていなかったか?」と自問自答します。
教科書的な「患者さんになぜそう思ったのかを聞く。」はその次だと思います。

②患者さんにとっては、がん治療=抗がん剤や小さくするための治療であって、がん治療に緩和ケアが含まれるという意識は医療者と非医療者での隔たりがまだまだ大きいです。自費診療のクリニックで治療を受けたいと言ってくれた患者さんには私の考えを話しますが、それでもというのであれば、止めることはしません。何か私が協力できることがあればしますし、もしどこか別の医療機関にかかることが希望であれば、、、と言って、対応してくれそうな医療機関を紹介してそこの先生と連絡を取り合ってみます。

自費診療のエビデンスがなく高額なところに行って、患者さん・家族が満足するのであればそれも一つの答えと思います。搾取している側のクリニックは許せませんが。

エビデンスがない中で闘病して、治療が生きる目標になっている患者さんもいることを私たちが受け入れないといけない時もあると考えています。

2022.02.13 | がん治療Q&A

子宮体癌の新治療

2021年12月24日に子宮体癌に対してキートルーダとレンビマ併用療法が二次治療として承認されました。

子宮体癌はカルボプラチン+パクリタキセル(TC療法)、ドキソルビシン+シスプラチン(AP)療法で初期治療が行われます。

今後はカルボプラチンやシスプラチンを使用後に進行してしまった症例に対するキートルーダ+レンビマが使えるようになりました。

NEJMに承認にいたった試験が掲載されていたので見ていきます。

子宮体癌の827例を対象として1:1の割付試験になっております。
キイトルーダ+レンビマ群 vs 従来の治療群
免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待されるdMMRの患者さんは130人おりますがこれも1:1で割付されています。

pMMR(ミスマッチ修復欠損のない)でも青い線がキイトルーダ+レンビマのように従来の治療よりも良い成績が出ています。

全体でも同様にキイトルーダ+レンビマが勝っています。10%くらいの症例では長期にわたって再発を認めていません。(免疫チェックポイント阻害薬使用時のLong tailと思われます)

生存率もこのようにキイトルーダ+レンビマが効いています。

非常に効果が高い治療であることが分かる一方で副作用も気になります。私も以前に違う癌種の患者さんに臨床試験でキイトルーダ+レンビマを使用したことがありますが、副作用が大変で患者さんも私たちもマネージメントに苦慮した記憶があります。

高血圧、甲状腺機能低下症が50%以上で見られています。Grade3以上の副作用も従来治療よりも16%ほど多く出ています。既存治療では多い、白血球減少症が少ない代わりにその他の副作用が出ます。特にレンビマは倦怠感なども強く出るため投与量などの検討が必要な薬剤です。

広島県だと婦人科で治療されることが多いと思いますが、内科医との密な連携が必要な治療になっていきます。

最近は婦人科癌の新規治療の承認がいくつかあり嬉しいことです。4月からはHPVワクチンも公費で承認されて、キャッチアップも広がります。1人でも多くの患者さんが良い治療を受けられるように、また防げるようになってきています。当院ではがん治療はできませんが、副作用サポートやフォローアップ、HPVワクチン接種はできますのでご相談ください。

2022.02.07 | がん治療Q&A