問い合わせ・相談
オンライン診療

がん知識の森

  1. 瀬尾医院
  2. がん知識の森
  3. がん治療Q&A

がん治療Q&A

高齢者の乳がん術後化学療法

世羅、尾道、三原、三次などの地区にも高齢の乳がん患者さんがおられます。
乳がんの手術は行ったが、術後に抗がん剤治療をすべきかどうか迷われている方も多いと思います。術後化学療法は高リスク、中リスク、低リスクと分けて考えます。高リスクは明らかに抗がん剤をしたほうがいい人、低リスクはしないでも大丈夫な人となっています。一番、迷うのは中リスクの人たちです。遺伝子解析などからより詳細になってきていますが、それでも高齢者に関してはデータが少なく抗がん剤の副作用も心配だし。。。と本当に迷います。患者さんと十分なやり取りをしたうえで術後抗がん剤治療を決定していました。

この論文は70歳以上の高齢者の高リスク群の患者さんに対して術後抗がん剤治療が有効かどうかの検討を行ったものです。

乳がん手術を行った2811人中の397人が抗がん剤治療を受けて、2414人が抗がん剤治療を受けませんでした。

結果としては、再発率を抑えられた一方で生存率に関してはいい結果が見られませんでした。ホルモン受容体陰性乳がんに関しては生存率の改善が見られましたが、そのほかでは差が見られませんでした。抗がん剤治療をするとQOLの低下も見られました。高リスクの高齢乳がん周術期の抗がん剤治療が生存率に寄与しなかったとなると中リスクに関しては更に検討が必要なのかなと思います。術後抗がん剤治療は投与開始はできるだけ早いほうがいいのは間違いないですが、抗がん剤治療を迷ったときにはセカンドオピニオンを求めた方がいいと個人的には考えています。

2021.05.27 | がん治療Q&A