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がんと遺伝

すい臓がんに対するルカパリブ

すい臓がんは未だに早期発見が難しく、予後が非常に悪いがんの1つです。mFOLFILINOX療法奏功例に対してBRCA陽性であればオラパリブという薬が適応になっています。BRCA遺伝子陽性患者においては無病増悪期間を延長する新しい治療選択となっています。

Journal of Clinical Oncologyという雑誌にルカパリブというPARP阻害薬のすい臓がんに対する効果が出ていました。いわゆる第1/2相試験で承認されるにはまだまだ時間がかかりそうですが、いい結果が出ているので共有します。

白金製剤~プラチンという薬で腫瘍の縮小が得られた患者でなおかつBRCA1, 2 , PALB2の遺伝子変異がみられた42人を対象としています。16週間のプラチナ製剤を含む治療後にルカパリブ投与を行っています。

結果ですが、生存期間中央値が23.5カ月、無病増悪期間中央値が13.1カ月とこれまでのすい臓がんの治療よりも非常に良い成績が得られています。もちろん、第2相試験のため、今後行われるであろう第3祖試験では違った結果が出る可能性もあります。ですが、非常に有用かもしれない新しい治療選択がすい臓がんに導入されるかもしれないという期待を持たせてくれる臨床試験だと思います。

2021.05.12 | がんと遺伝,がん治療Q&A