お知らせ
劇場クラスターと抗体検査

当院でも抗体検査を行っているため、再度書いておこうと思います。新宿の劇場でクラスターが発生しました。関係者によると抗体検査を実施して陰性だったから、、、とあります。
当院の説明にも書いていますが、抗体検査は症状がある時の感染有無を判定するのには不適切です。抗体検査はあくまで過去の感染履歴を確認するものです。体調不良を訴えていたのであれば、抗体検査ではなくPCR検査か抗原検査を受けるべきでした。というか、この時期に体調不良があったのであれば人前に出るのは控えるべきでありました。抗体検査を行って医師がどのように説明したかは分かりませんが、検査を受けるにしても近くて安いところが良いというわけではなく、検査の知識がある医療機関で受けたほうが良いと思われます。
2020.07.14 | コロナウイルス関連
コロナの後遺症
ここ数日でコロナウイルス感染後の後遺症がやばいとメディアが放送しているのが目につきました。医学雑誌(JAMA)に掲載された論文が根拠になっているようです。一緒に読んでみましょう。
7月9日にイタリアから発表されたようです。143人のコロナウイルスで入院した患者さんを対象にアンケートをとっています。結果は以下のようになっています。国立国際医療研究センター病院の忽那先生が和訳の表を作成してくださっていたので引用させてもらいます。

患者さんの87.4%が退院後にも何らかの症状を訴えていることが分かりました。55%の半数以上の方は3つ以上の症状があるようです。これだけ聞くと、なんて恐ろしい病気なんだと思いますよね。
次に患者さんの特徴を見ていきましょう。

年齢の中央値が56.5歳、最も多い合併症が高血圧で35%、心不全やCOPDといった合併症がある人も4.9%、9.1%います。肺炎を起こしていた患者さんが72.7%、酸素投与を受けていたのが53.8%、人工呼吸器が4.9%です。急性期の症状が出てから約60.3日後にアンケートを回答した人が多いようです。生活の質(QOL)が悪くなったという人が44.1%います。
87.4%の人が退院後も症状があると言っていますが、生活の質が低下したと答えているのは44.1%と約半数にとどまっています。
この結果を解釈するのに注意点がいくつかあります。
①入院患者さんが対象となっている=比較的重症患者さんが多い
②1施設のみの集計
③コロナウイルス以外の肺炎などでも治癒後の症状が残ることはある
④コロナウイルスにかかる前から倦怠感や息切れがあったかは聞かれていない=心不全やCOPDがある人はコロナウイルスにかかる前から何らかの症状があってもおかしくないですよね。
⑤アンケートなので、聞かれたら何となくそうかもしれない、、、と答えてしまうバイアスが出てくる。
以上のような注意点があるため、このデータから後遺症が8割以上の人に残りますよ!とはなりません。
ただ、感染後にも苦しんでいる人がいるのは事実なので感染しないように手洗い、マスク、感染者がいそうな密になる場所には出向かないというのが大切なことに変わりはありません。
2020.07.14 | コロナウイルス関連
患者数が増えてるのは検査が増えてるせい?
東京での感染者数が200人を超え、それに呼応するかのように地方の感染者数も増えてきています。広島でも7月13日に3人の陽性者数が発表されました。
小池都知事や政府発表では感染者数が増えているのは積極的に検査をおこなっているからであり、4月とは状況が違うと言っています。本当にそうでしょうか?
検査を行えば陽性者数が増えるのは当たり前のように聞こえますが、そうではありません。ニューヨークってどうなった?で紹介させていただいたデータでは検査数は右肩上がりでしたが、感染者数は減ってきていました。さらに国立国際医療研究センター病院の発表では新宿区のPCRスポット陽性率が40%を超える日もあるとのことです。
関東では市中感染がどんどん広がっていると考えられます。検査数が増えているから陽性者が増えるのは当たり前、安心していいというのは違います。
若い人が感染者が増えていますが、若いと大丈夫というわけではありません。一定数で重症者は出ます。感染者の大部分は20代~30代と言われますが、感染者数自体が増えていっているので若年者以外の陽性者数も確実に増えています。

入院患者数も徐々に増えてきているのが見てわかります。コロナウイルス陽性患者を入院で診る病院の負担はかなりのもので、病床の変更や重症者が出たときの準備、予定手術をどうするのかなど神経をすり減らします。
広島の検査体制が拡充されているかは不透明です。東京への出張なども増えているようですし、市中感染は広がっている可能性があります。東京からの流入を止めればよいという問題ではなく、重症化しやすい高齢者や病院での院内感染を防ぐための対応を検討していかなければいけないと思います。
東京で起きている感染者増は決して対岸の火事ではありません。
一般市民の方々は手洗い、マスク着用、風邪症状がある時などには仕事を休むなどの感染対策を今一度徹底しましょう。
2020.07.13 | コロナウイルス関連
ニューヨークってどうなった?
一時期のワイドショーで東京はニューヨークのような医療崩壊が起こる!と騒がれていました。実際にニューヨークは医学生や引退した医師なども動員して非常に混乱したようでした。アメリカでは感染者数もまだまだ増えているようですがニューヨークはどうなったのでしょうか?googleでNew York, COVID19と引くとニューヨーク保健局が公開しているページがありました。一緒に見てみましょう。
https://www1.nyc.gov/site/doh/covid/covid-19-data.page











いかがでしたか?違う政策、対策をとっているので東京とニューヨークの動きは異なっているのがわかります。ニューヨークは地図も作成していたり見やすいグラフになっていました。
感染者数が増え始めている東京では重症化しにくい若年者が多いから、、、と言っていますが高齢者に伝播していくと確実に重症者、死亡者が増えていきます。感染対策を行いクラスターを発生させないようにしましょう。
2020.07.04 | コロナウイルス関連
東京の感染者が増えてきました
東京のコロナウイルス感染者数が増えてきました。梅雨や暑さ、紫外線で死滅するから、、、という意見もありましたが外れた格好です。私自身も夏場にかけては落ち着くのではないかと考えていたところもありました。都市部は人の多さや移動もそうですが、地下街や電車内など密閉空間となる場所が多いことも関係しているのかもしれません。
連日100人越えの感染者を見せていますが、これは10-14日前の感染者の数です。もちろん、PCRの検査数や対象者が3月4月と比べると広がったから陽性者数が増えているということもあります。しかし、着実に感染者数が増えていることも事実です。現在は数百人~千人規模での感染者がいるかもしれません。高齢者や基礎疾患がある人達が重症化リスクが高いですが、若年者が重症化しないわけではありません。
東京から広島に帰ってくる人や東京に旅行に行かれる人もいるかもしれませんが、十分に注意してください。
①できうる限り東京への渡航は控える。特に高齢者と生活している人。
②14日以内に東京から帰ってきた人は、なるべく自宅から出ずにマスク装着と手指手洗いをこまめに行う。検温などを行い異常があればすぐに相談する。
③14日以内に東京から帰ってきた人などと濃厚接触がある場合には体調変化に気を付ける。
これらのことが重要だと思います。また、東京などの都市部ではPCR検査が民間医療機関にも広がっており、保健所などを介せずに自費にはなりますが検査が行われています。広島県は行政との兼ね合いもあるのでしょうが、指定医療機関(公表されていないからよくわかりませんが)でないとできないようです。
そういったときにIgM抗体の測定は役立つかもしれません。当院でも必要であればIgM検査も行うことは可能ですのでご連絡ください。
2020.07.04 | コロナウイルス関連