がん治療Q&A
コロナ禍で進行がんは増えたのか?
コロナ禍になって受診率が減ったから進行がんが増えた。というのは昨年からたまに耳にすることがありましたが、実際にはどうだったのか知りませんでした。JAMAにアメリカでの大腸がんと乳がんのStage IとStage IVの比率が2019年~2021年でどうなったのかを調べたResearch Letterが掲載されていました。
UC San Diego病院のデータです。施設が1つだけのデータですが、今後色んな施設からのデータが集まってくると思われます。
Stage Iの大腸がん
2019年 19.8%(8人) → 2020年 14.6%(6人)
Stage IVの大腸がん
2019年 6.7%(3人) → 2020年 19.5%(8人)
大腸がんは2019年45人、2020年41人しか登録されていなかったので有意差が出るのは難しいです。差は出ていません。
Stage Iの乳がん
2019年 63.9%(138人) → 2020年 51.3%(116人)
Stage IVの乳がん
2019年 1.9%(4人) → 2020年 6.2%(14人)
こちらも患者数自体が216人、220人とそんなに多いわけではありません。それでも乳がんに関してはStage Iの患者の数が減っています。
乳がんに関しては2019年、2020年、2021年のグラフがあります。
Stage Iが減って、Stage IVが増えてきています。
この論文ではコロナ禍により早期受診者数が減ることによりがんの生存率が悪くなってくる可能性があるのではないかと結論付けています。
ワクチンや経口治療薬など出てきています。自分の地域の感染が落ち着いたらがん検診を受けに行きましょう。
2022.03.07 | がん治療Q&A