がん治療Q&A
胃薬とパルボシクリブ
ESMO(ヨーロッパ臨床腫瘍学会)をながめていて、興味深い発表があったので簡単に書いておきます。
ホルモン受容体陽性乳癌に対する治療としてパルボシクリブという薬があります。それとPPIなどの胃薬を併用すると効果が薄れてしまうということでした。
112人の検討でPPIを併用している患者では効いている期間は約14カ月、飲んでいないと37.9カ月とかなりの差が出ていることが分かりました。
パルボシクリブは胃のpHが低いほど吸収が良い薬のようで、胃薬で酸を少なくすると吸収効率が落ちてしまうとのことです。胃薬は多くの患者さんで入っていますが、下痢を起こしたり、腎障害を起こしたりと実は色んな副作用が報告されているものもあります。安易に入れがちな胃薬ですが、むやみに長期投与はせずに、必要なければ減らしていった方が良いと感じました。
2021.10.20 | がん治療Q&A