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がん治療Q&A

ホルモン受容体陽性乳癌への術後パルボシクリブ併用療法

最近はコロナ対応などで忙しく、なかなか情報更新をすることができませんでした。久しぶりにがん情報を掲載します。

乳がんの患者数は日本でも非常に増えており、当院にも〇〇病院で手術しました。ホルモン剤飲んでます。という患者さんがたまにいます。数年前に転移性ホルモン受容体陽性乳癌に対する新薬としてパルボシクリブ、アベマシクリブという薬が出ました。ホルモン剤と併用することで効果が出るとして、今では標準治療になっています。これを術後のホルモン療法に併用した場合に効果があるのかというのがこの研究で知りたかったところです。

術前化学療法を行い、完全に病変が無くならなかった患者さんを対象にしています。術後1年間にホルモン療法に加えてパルボシクリブを併用しています。


iDFSというのが再発までの期間、OSというのが生存率を示しています。青がプラセボ(偽薬)、赤がパルボシクリブを内服した患者さんです。若干、赤い線の方が上にいっており成績が良くは見えますが、統計学的には有意差が出ていません。

そもそもホルモン療法単剤だけでも、再発率が術後3年で80%程度で良好な成績が得られています。そこからさらに成績をよくするというのは大変なものです。

今回の結果では、残念ながら術後の成績を向上させるまでにはいきませんでしたが、他の薬剤でより乳がん術後成績が改善されるのを期待しています。

2021.05.09 | がん治療Q&A