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がんと遺伝

遺伝子検査

 令和元年にNCCオンコパネル、Foundation Oneを用いたがんゲノム検査が保険適応となりました。これまでのがん治療がどう変わるのか?NCCオンコパネルとFoundation Oneの違いなどを書いてみようと思います。

 

DNAのイラスト

 遺伝というと親から引き継いだもので子供たちにも影響するものだと思っていませんか?必ずしもそうではありませんがん細胞自体の遺伝子変異(Somatic mutation)と胚細胞由来の遺伝子変異(Germ line mutation)と2種類あることを知っておいてください。

Kintalk UCSFより改編 https://kintalk.org/genetics-101/

 上の図のようなパターンがあります。生殖細胞(精子、卵子)遺伝子変異があれば子供たちに遺伝していく可能性があり、体細胞変異(がん細胞だけの変異)であれば遺伝はしないことが分かると思います。                 この遺伝子変異を見つけるのがNCCオンコパネル、Foundation Oneになります。増えているがん細胞にしかない遺伝子異常が見つかって、その遺伝子に異常に対する薬ができればがん細胞がなくなるんじゃないか?というのが遺伝子治療の概要です。

①生殖細胞遺伝子変異も分かるNCCオンコパネル              NCCオンコパネルの名前の由来は National Cancer Center 築地にある国立がん研究センターで作成されたからです。検査の特徴としては血液中の遺伝子とがん細胞を比較することにあります。

間違い探しみたいな感覚ですね。正常細胞とがん細胞を比較してより正確に遺伝子変異を見つけようとします。ただし、正常な細胞に遺伝子異常が見つかると生殖細胞遺伝子変異の可能性が出てきます。NCCオンコパネルで分かる生殖細胞遺伝子変異には以下のようなものがあります。

遺伝子
BRCA1, BRCA2Hereditary Breast and Ovarian Cancer
TP53Li-Fraumeni Syndrome
STK11/LKB1Peutz-Jeghers Syndrome
MLH1, MSH2Lynch Syndrome
APCFamilial Adenomatous Polyposis
VHLVon Hippeel Linday Syndrome
RETMultiple Endocrine Neoplasia Type 2
Familial Medullary Thyroid Cancer
RB1Retinoblastoma
PTENPTEN Hamartoma Tumor Syndrome
TSC1Tuberous Sclerosis Complex
SMAD4Juvenile Polyposis

②Foundation One    腫瘍細胞のみを使用して324個の遺伝子変異を調べます。こちらの検査の大きな特徴は肺がん、悪性黒色腫、乳がん、大腸がんへの保険適応されている分子標的薬が使用可能です。

どちらの検査も生涯で1回しかできません。どのタイミングで行うかどうかは担当医との相談が必要です。

誤解されることがあるのですが、遺伝子変異が見つかれば治療薬が使用できる・効果があると思っている医療者も少なくありません。しかしながら、調べる遺伝子異常のすべてに薬があるわけでもなく、運よく(10%程度)見つかったとしても保険では使用することができず、患者申し出療養費か自費で治療を受けないといけません。また必ず効果があるわけではないので慎重な判断が必要となります。治験などの参考にはなるかもしれません。

次回はBRCA遺伝子に関して書きたいと思います。

2020.02.06 | がんと遺伝