95%効果のあるワクチン?
11月に入ってPfizerから95%効果があるワクチンが開発されたと発表がありました。
中国新聞にも大きく取り上げられていました。発症を防ぐ有効性が95%と書いてあります。他のメディアも同じような感じです。
Pfizerのプレスリリースを直訳したらたしかに有効性95%とあります。ワクチンを打ったら95%もワクチンを防げる、もしくは100人打ったら95人がコロナにかからない!と思いませんか?医学の世界には様々な有効性があります。
①相対危険度減少率(相対リスク減少率):Relative Risk Reduction ワクチンを打たなかった人に対して、ワクチン打った人では何%コロナの症状を抑えたかを示します。治療効果の差を出すときに良く使われます。プレスリリースから計算するとこれが95%でした。
②絶対危険度減少率(絶対リスク減少率):Absolute Risk Reduction ワクチンを打たなかった人のコロナ発生率とワクチンを打った人のコロナ発生率の差です。ワクチンによりコロナウイルスの症状が出ないのが、試験対象者全体のうち何%かを示します。これはなんとたった0.7%。。。
③治療必要数:Number Needed to Treat 1人のコロナウイルス発症を防ぐために何人にワクチンを打てばいいのかという数値。この数値が少なければ少ないほどワクチンの効果が高いことを示します。これは142人となりました。つまり142人に打ったらやっと1人がワクチンの恩恵を受けることができるということです。
44000人近くに打って170人しか発症者が出ていないため、この数値は今後変わってくる可能性が高いですが、95%という数値がどのような意味が持つものなのかはしっかりと捉えなくてはいけません。
追記になります。ちょうどこのブログを書いた日の翌日に、神戸大学の岩田健太郎先生が感染症は人にうつすかうつさないかなども重要なため、絶対危険度減少率や治療必要数を指標にしてはいけないという発信をされていました。時間が経過すればワクチンの効果が出てくるのかもしれないのですが、現時点で与えられた情報では何を指標にすればよいのかを少し勉強して書きたいと思います。
2020.11.22 | コロナウイルス関連