緊急事態宣言② 医療崩壊
日本は病床数は世界一なのに、欧米の10分の1、100分の1の感染者数で医療がひっ迫するのはおかしい。民間病院が20%しか受け入れてないからだ。など色んな報道が毎日されています。民間病院の件に関しては忽那先生がYahooニュースで書いてくれていたのでそちらを引用しときます。
医療が逼迫しているのは民間病院のせいなのか?(忽那賢志) – 個人 – Yahoo!ニュース
病床数に関して個人的にも気になったので調べてみました。
たしかに日本の病床数は桁が違いますね。ただし注釈が付いています。
他国では精神科をカウントしていない、日本では急性期病床に回復期リハビリテーションも含むとあります。コロナウイルス感染後にはリハビリが必要なので急性期病床と回復期リハビリテーションを含むと、以下のようなグラフになるようです。
ドイツと日本が同水準程度となっているのが分かります。多いことは変わりませんが、日本だけがずば抜けているということではないことが分かります。
さらに言うと、フランスやアメリカの一部州では介護施設や挿管が必要になりそうな重篤患者は症例によっては病院に搬送せずに看取っています。日本でこのようなことをしたら大バッシングされます。アメリカではコロナにより平均年齢が1年さがり、高齢者によってはがん死亡者数よりも昨年度の死者数が多くなっています。
医療崩壊の定義は国や地域、個人によって違いますが、日本の医療崩壊は他国と比べると閾値がかなり低く設定されます。海外では医療崩壊が起こっていないのにとメディアは言いますが、本当にそうですか?
なぜ中小病院が多いのか?
1980年代に病床数過多が問題視されるようになり1985年に病床数規制が導入されました。300程度に全国を分けて、この地区ならベッドの数はこれだけに制限します。とするようにしました。公布から施行まで1年間があったわけですが、駆け込みの病床確保が相次いだため中小規模の病院が増えたわけです。さらに病院経営の観点から大規模病院や大学病院は建て替えの際にはベッド数は削減しているところが多いです。
病床数に比して圧倒的に足りないのが医師数と看護師数です。日本の医療がもっているのはコロナ対応している医師たちのモチベーションと使命感だと思います。テレビに出ているコメンテーターや元厚労省技官などが、眼科医や皮膚科医を再教育してコロナ対応できるようにするのを進言しているとか、報酬を増やせばと言っているのも見ました。失礼極まりない話です。眼科医、皮膚科医はその分野でのプロですし、モチベーションがあって学んでいます。突然、コロナのために教育プログラムをやりますといっても、参加する医師はいないでしょう。医療をひっ迫させないためには患者数を減らすしかありません。
2021.01.20 |