糖尿病薬と心不全
コロナ感染が下火になってきたので、あんまりお知らせに書くことがないなと思っていたのですが、最近の治療薬のトピックを書きます。
糖尿病治療薬にSGLT-2阻害薬というのがあります。尿から糖分を出すことで血糖値を下げてしまおうと作られた薬です。
でも、この薬は最近になって糖尿病がない心不全患者さんにもとてもいい薬になる可能性があることが分かってきています。
糖尿病が長引くと血管が固くなり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことは良く知られています。心筋梗塞が起こることで心臓の動きが悪くなり、動いたりすると息苦しくなったり、肺に水がたまって入院することになります。
エンパグリフロジン(ジャディアンス)という糖尿病薬があるのですが、これを糖尿病がない患者さんに投与しても低血糖はほとんど起こすことはなく、心不全による入院が20%程度も減少することが分かりました 「EMPEROR-Preserved試験」 。なぜ心臓に良く効くのかは(私には)はっきり分かりません。でも、そのような結果が出ているので、今後は糖尿病+心不全リスクのあり、入院歴のある患者さんには積極的に使用していこうと思っています。
2021.10.20 | お知らせ