コロナウイルスの色んな検査
以前にもコロナウイルス検査に関して忽那先生の記事を引用して書きました。
当院で抗体検査を開始したこともあるため、再度まとめて書こうと思います。
コロナウイルスの検査に関して大事な前提として、”検査が陽性だったら感染をさせるのか?”ということがあります。
PCR検査:ウイルスのRNA(遺伝子のようなもの)を確認しているため、そこに存在していることは分かるが、そのウイルスが生きているのか死骸なのかは分からない。→感染力は不明
抗原検査:抗原検査もウイルスの一部を拾っているだけなので、生きているのか死骸なのかは分からない。→感染力は不明
抗体検査:過去の感染を見るもので検査時点での感染は分からない。
では感染力を見るにはどの検査をすればよいかというと、ウイルス培養検査です。実際の細胞に検出されたウイルスのRNAを入れることで増殖すれば生きてるウイルス=感染力あり、増殖しなかったら死んだウイルス=感染力なし となります。
クリニックで広く導入されている抗体検査ですが、いろんな簡易キットが出ています。10分程度で結果がその場でわかるというものが多いです。私自身、簡易キットを使用していた医療現場で働いていましたが、以下の点で個人的には正確性や臨床的に疑問があります。
①手作業で検査を看護師や医師が行うため試薬量などが検査ごとに異なってしまう。
②陽性になると線が付くが、薄い場合にはこれって陽性???と職員内で確認が行われる。
③簡易検査キットは新型コロナウイルスだけでなく、その他のコロナウイルス(普通の風邪の原因となるウイルス)でも陽性となることがある。
④その場で検査結果が出る抗体検査キットはあくまで”簡易”であることを忘れてはならない。
と思っています。当院で導入している抗体検査は検査日数がかかってしまいますが、検査センターに血液を送り抗体価までしっかりと検出してもらいます。新型コロナウイルス用の検査です。また、検査結果もしっかりと紙で返ってくるため患者さんが自分で検査結果を保存できるというメリットががあります。下記が当院で利用している会社のものです。
https://www.abbott.co.jp/media-center/press-releases/29-05-2020.html
瀬尾医院で行う抗体検査結果の目的ですが、患者さんが自分の風邪症状がコロナウイルスであったのではないか?という疑問に答えることができるというのもありますがそれ以外にも、当院で検査を受けていただいた患者さんにそれぞれの検査のメリット、デメリット、今後コロナウイルスが流行した時に自分にはどの検査が最適なのか?といったことを知っていただきたいと思っています。
2020.06.14 | コロナウイルス関連