お知らせ
中国新聞に取り上げていただきました。
6月29日の中国新聞に当院の記事が掲載されました。限られた文章の中でしたが、分かりやすく伝えてくださった記者の方には感謝しています。
他にもたくさんのことをお話させていただいたので、ここでも挙げさせていただきます。
コロナウイルスが世羅で発生しなかったのは運が良かっただけと思っています。もちろん住民の方々の外出自粛などの努力も大きかったはずです。
東京では自粛が解除されて感染者数がじわじわと増えていっています。他国の経過をみてもロックダウンをしても感染者数をゼロにすることは難しく、このまま秋の再流行に突入する可能性が高いです。
以前に世羅町の方々と話した時に、花などの観光で町おこしをするんだ!と言っておられました。となると、今後もどうしても町外からの観光客の流入は避けられません。高齢者の方も多く、家族は広島市内や福山、関西で住まわれている方もいます。家族同士の交流でも町内に感染者が入ってくることがあるかもしれません。
感染者を出さないことを目標にするよりも、感染者が出たときに対応できる体制を整えていくことが今後の課題です。コロナが怖い、感染している人には近寄っちゃいけない、感染者が出たら外に出ちゃいけない、感染の可能性がある人がいたら隔離しなきゃいけない、と動いてしまうと偏見や差別につながってしまいます。
先日、コロナ感染者が未だ出ていない岩手県の家族のtwitterが話題になりました。父親に東京に住む息子が「そろそろ実家に帰ってもいいか?」と尋ねたところ、父親から「岩手県で初めてのコロナ感染者はニュースだけでは済まないから帰ってくるな!」となったそうです。
このやり取りの背景には、初めてのコロナ感染者には誹謗中傷や差別が待っているかもしれないということがあるのではないでしょうか?
全世界でこれだけ流行しており、終息することなく、スウェーデンの集団免疫獲得も成功していると言えない状況を見るとコロナウイルス感染は生活の一部となります。
感染者が多いと分かっているキャバクラやホストクラブに通うのは例外ですが、日常生活の中でかかってしまうのは仕方ありません。
コロナ感染者が出ても、観光客を受け入れられる体制は世羅町は整っていますとアピールしていくことも大事ではないでしょうか?世羅町役場と世羅町の医療機関で考えていかなければいけません。
コロナウイルス検査にも抗体検査、抗原検査、PCR検査があります。流行時期や症状の有無などで適切な検査や結果の解釈の仕方が変わってきます。住民の皆様もコロナウイルスのことをよく知って適切な対応を取り、感染者が出ても慌てない、過剰に反応しない地域を作っていきましょう。
捕捉になりますが、学校や施設などでコロナウイルスのことを知りたいなどがあれば相談いただければwebを使った相談会や少人数の勉強会など行いますので気軽にご連絡ください。専門はがんなので、そちらの相談ももちろん受け付けます。
2020.06.29 | コロナウイルス関連
アクテムラとコロナウイルス
関節リウマチに使用されるアクテムラという薬をニュースやワイドショーで聞いた方も多いかと思います。
コロナウイルスに感染すると全身の炎症反応が強く発現(サイトカインストーム)して全身臓器を傷つける。それを防ぐために炎症を抑えるアクテムラ(抗IL-6抗体薬)で治療ができる可能性がある。という理論があります。6月20日のLancetという雑誌にアクテムラの論文が出ていたので紹介します。
新型コロナウイルス感染患者を28人のアクテムラを使用した患者さんと23人のアクテムラを使用していない患者さんに分けて比較しています。すべての患者さんがクロロキンとアジスロマイシンという薬を投与されています。クロロキンはマラリアの薬で効果がないことが発表されて承認が取り消されました。アジスロマイシンは日本でも非定型性肺炎などに使用される抗生剤です。
重症患者さん(低酸素、肺炎像あり、CRP>3 or フェリチン>400)に対してアクテムラが投与されています。
アクテムラが投与された患者さんの方が人工呼吸器などを使用している重症患者さんが多いにも関わらず、アクテムラを使用した患者さんが回復するまでに6.5日、アクテムラを使用しなかった患者さんが回復するまで7.0日と半日だけ回復期間が早くなっています。ただし、統計学的な有意差はありません。人工呼吸器が必要だった患者さんに関しては8.0日 vs 13.0日と5.0日間早く回復しているのが分かりました。

死亡者数に関しては差がありませんでした。この結果から重症患者に関しては、アクテムラを使用することが適切である可能性があります。ただし、患者さんの数が少なかったり、ランダム化比較試験でないこと、アクテムラが投与された患者さんが比較的若いなどの注意点があります。
東京では連日50人を超えるコロナ陽性患者さんが出ていますが、重症患者さんがどれだけいるのかは分かりません。日本では患者さんの数が少なく臨床試験が進まなくなっています。アメリカやブラジルなどの国での治験結果を待っています。
2020.06.27 | コロナウイルス関連
抗体があれば病気にならない?
抗体があれば、コロナウイルスにかからない!集団免疫を獲得したらいい!という発言を聞くことがあります。本当にそうなのでしょうか?抗体には実は色んな抗体があるのを実例を挙げながら説明してみたいと思います。
①抗体ができれば病気になる可能性がなくなる。→多くのワクチンが作られている病気です。例)麻疹、風疹、ムンプス(おたふく)、A型肝炎
②抗体ができるが、体の中に潜んでいて免疫力が下がったりした時には発症してしまう。例)B型肝炎、ヘルペス、帯状疱疹
③抗体ができるが、完全に感染を防ぐことはできない。抗体が長期間持続しない。ただ、抗体があると重症化を防げる可能性がある。例)インフルエンザや色んな風邪の原因となるウイルス
④抗体ができても慢性化する。例)HIV、HTLV-1
などが挙げられます。恐らく新型コロナウイルス抗体は③に近いものではないかと考えています。
抗体ができていれば安心!というわけではなく、抗体にはいろんな種類があるんだなということを知っていただきたいと思います。
2020.06.14 | コロナウイルス関連
コロナウイルスの色んな検査
以前にもコロナウイルス検査に関して忽那先生の記事を引用して書きました。
当院で抗体検査を開始したこともあるため、再度まとめて書こうと思います。
コロナウイルスの検査に関して大事な前提として、”検査が陽性だったら感染をさせるのか?”ということがあります。
PCR検査:ウイルスのRNA(遺伝子のようなもの)を確認しているため、そこに存在していることは分かるが、そのウイルスが生きているのか死骸なのかは分からない。→感染力は不明
抗原検査:抗原検査もウイルスの一部を拾っているだけなので、生きているのか死骸なのかは分からない。→感染力は不明
抗体検査:過去の感染を見るもので検査時点での感染は分からない。
では感染力を見るにはどの検査をすればよいかというと、ウイルス培養検査です。実際の細胞に検出されたウイルスのRNAを入れることで増殖すれば生きてるウイルス=感染力あり、増殖しなかったら死んだウイルス=感染力なし となります。
クリニックで広く導入されている抗体検査ですが、いろんな簡易キットが出ています。10分程度で結果がその場でわかるというものが多いです。私自身、簡易キットを使用していた医療現場で働いていましたが、以下の点で個人的には正確性や臨床的に疑問があります。
①手作業で検査を看護師や医師が行うため試薬量などが検査ごとに異なってしまう。
②陽性になると線が付くが、薄い場合にはこれって陽性???と職員内で確認が行われる。
③簡易検査キットは新型コロナウイルスだけでなく、その他のコロナウイルス(普通の風邪の原因となるウイルス)でも陽性となることがある。
④その場で検査結果が出る抗体検査キットはあくまで”簡易”であることを忘れてはならない。
と思っています。当院で導入している抗体検査は検査日数がかかってしまいますが、検査センターに血液を送り抗体価までしっかりと検出してもらいます。新型コロナウイルス用の検査です。また、検査結果もしっかりと紙で返ってくるため患者さんが自分で検査結果を保存できるというメリットががあります。下記が当院で利用している会社のものです。
https://www.abbott.co.jp/media-center/press-releases/29-05-2020.html
瀬尾医院で行う抗体検査結果の目的ですが、患者さんが自分の風邪症状がコロナウイルスであったのではないか?という疑問に答えることができるというのもありますがそれ以外にも、当院で検査を受けていただいた患者さんにそれぞれの検査のメリット、デメリット、今後コロナウイルスが流行した時に自分にはどの検査が最適なのか?といったことを知っていただきたいと思っています。
2020.06.14 | コロナウイルス関連
新型コロナウイルス抗体検査開始
瀬尾医院で新型コロナウイルス抗体検査を開始しております。電話での対応はできかねますので、メールフォルム(以下のがんよろず相談 メールフォーム)から問い合わせをお願いします。
施設や企業にも出張での検査を考えています。
当院では簡易キットではなく、抗体価を測定のうえで結果を出します。検査結果が出るまでは2~3日を要します。
遠方からの来院者には郵送での返却も承ります。
2020.06.05 | コロナウイルス関連